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「听屋焼肉」の絵を描いた、マメイケダさんの本心。

「調理の工場で働いてたんです。お惣菜屋さんの」

そっと、つぶやくように教えてくれたのは「听屋焼肉」のメニューから看板まで、すべてのイラストを担当する画家のマメイケダさん。食べもののモチーフを得意とするだけあり、リアリティを超えたシズル感、力技のこもったおもむろで大胆な作風……とはうらはらに、本人はどこまでも慎まやか。

「ある日、商品の紹介を手描きでいこうってなったんです。私が一番若かったし、パートさんに盛り付けを伝える絵をちょっと描いてこともあって」そんななしくずし的な理由で、マメさんは絵と向きあうことになった。でもこれが思いがけず、彼女のこころの琴線に触れてしまった。「ちゃんと色を付けて、がっつり描くのは久しぶりだったんですけど、楽しくて。これをちゃんとやろうと思って」

 

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意を決して仕事をやめ、故郷の島根から大阪へ。アルバイトをしながらイラストレーションの学校に通い、公募展に応募したところ、みごと入賞。その頃から、少しずつ仕事がまわりはじめた。

「やっぱり、一番描きたいののは食べもの。だけどその頃は全然で、うまく描けるようになりたくて、毎日描かなきゃと思って」絵のごはん日記をつけることにした。のっけは「早く描き上げたい」と焦っていたけれど、描けば描くほど、そして楽しくなればなるほど、時間をかけてじっくり描くようになった。

「よく見ると、『食べものってこんな色してるんやー』ってなることが多いんです。たとえば水餃子といえば、白じゃないですか。でも本当は白っていうより、中の具材のニラが透けてちょっと緑になってて。それを入れたらぜんぜん違う、とか」

またある時はパンにハマり、パン屋さんでバイトしながら描いていた時期もあった。「作り方が分かったら、うまく描けるかなと思って。クロワッサンなら生地をこねて、くるくる巻いて。そんな作る順番みたいに、絵も描いていけるといいなって」

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これまでありとあらゆる食べものを描いてきたマメさん。今回の「听屋焼肉」では、肉を書くことになった。焼いた肉はあるけれど、生の肉ははじめて。しかもロース、バラ、ハラミなどなど、ほぼ似たようなメニューの肉をすべてを描き分けるという試練?が彼女を待っていた。

「たいへんかなと思いましたけど、でもまぁ、なんとなくいける気はすると。多分ポイントは、そうですねー、霜降りの感じ、かすれとか白の強弱とか、それを入れるタイミングとか」

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今回に限らず、ふだん絵を描きながら、どんなことを考えているのだろう。

「んー……色を見てるのかなぁ。切り方とか、調理されてる時のことを考えたりするのかもしれません。あとは食べた時のこと、記憶の中でおいしかったなぁと思いながら、記憶を写している感じ?んー……」

と、思いきり時間をかけて、むりやり聞き出したけれど、ふだん描く時はあまり考えていないことが多いという。

「うまく描こうとも、リアルに描こうとも思ってなくて。ただ描いて、描いて、描いて、おいしそうになったら、満足したら終わりっていうか」

ただやっぱり、と続けるマメさん。

「作ってる人が分かると全然違います。時間はかかっても、気持ち的な書きやすさは絶対あると思います」

そこはきっぱりと言った。

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マメイケダ / 画家・イラストレーター
1992年生まれ。島根県出身、大阪市在住。

HBファイルコンペ Vol.26 副田高行特別賞、Vo.27 仲條正義賞。
作品集に『味がある。』(誠光社)、『ふうけい』(iTohen)
装画に『ウマし』(伊藤比呂美・著/中央公論新社
『帰ってきた日々ごはん』(高山なおみ・著/アノニマ・スタジオ)
『東京近江寮食堂』(渡辺淳子・著/光文社)など。
書籍や雑誌の仕事も多数。

オフィシャルHPはコチラ

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