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Report

「とり茶太郎」×「Ăn Đi」×「焼き鳥とワイン 源」
collaboration dinner  前編

 

「だいぶ、なめていたというか」

あごを撫でながらそう語るのは「焼き鳥とワイン 源」の店主・千竈健司さん。もともと苦みばしった男前の表情が、さらに苦くゆがむ。

「串揚げとワイン 源」の店主としてバリバリ活躍していた千竈さんが、新店「焼き鳥とワイン 源」の立ち上げに関わることになったのは、オープンのおよそ3ヶ月前のこと。串揚げから焼き鳥へ。まったく新しいジャンルの挑戦にあたり「焼き鳥のことを知らなさすぎる」と、ワラをもつかむ思いで門をたたいたのは、渋谷の超人気店「とり茶太郎」。

「これまでで一番おいしい焼き鳥!」と、叫びたくなるほど感動し、その思いをまっすぐ、あたかも中学生の告白よろしく(!)店主・金子さんに伝えたところ、ご厚意で厨房に入らせてもらうことになった。ほんの数日間だったが、千竈さんはすっかり洗礼を浴びてしまったようだ。

「想像していた以上にすごかったです。まず鳥を選ぶ段階から『誰が作っているか』から始まって、炭も種類があったり、火の起こり方も違ったり、焼き方も絶妙だったり。真似をすればいいってもんでもない」

そんな千竈さんに、金子さんも呼応するように、難しげな顔でうなずく。「焼き鳥って簡単に思われがちなんですけど、けっこう奥が深いというか。炭がまず難しいですよね。いつも同じ炭は届かない。あと肉の状態によっても、季節によっても変わる。営業後、毎日のように食べて、もっとどうしたら良いのかなって言ってますね。『これで終わり』は、死ぬまでない」

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そんなふたりの話を聞いて、ハッとした。

「焼き鳥」のこと、深く考えたこともなかったけれど。

素人目には「ただ焼くだけ」の料理にも見えるけれど。

確かに、温度設定できるオーブンで焼くわけでもなく、決まった温度の油で揚げるでもない。人工的に制御できない火、しかも毎日違う中で一定のクオリティを保つのは、とても怖いことなんじゃないだろうか。

「しかもレバーとモモじゃ、焼き方が全然違うんです」

金子さんは続ける。

「捨てるところが本当にないくらい、いろいろな部位があるので、難しいですけどその分の面白さはありますよね。自分も本当に焼き鳥大好きで、いろいろな部位を食べたいので、お客さんにも食べてもらいたいんです」

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金子さんの表情が少しゆるむのを見てとり(すかさず)食べ手として、焼き鳥のどこが好きかをうかがうと「食べ飽きない」という、スッパリとした答えが返ってきた。

「仕事が休みの日でも、他の焼き鳥屋に食べに行きます。タレと塩の組みわせで、各部位20本とか食べるので。なんでこんなに食べたくなるのかわからないですね。焼き鳥中毒みたいなもんで」

幼稚園の時、初めて好きになった食べものが焼き鳥。両親が共働きだったため、学校から帰るとテーブルの上に50円玉一個置いてあり、団地に売りにやって来る焼き鳥を、毎日「一本下さい」と言って食べていたという。「そのあと好きになったのは寿司なんですけど(笑)」

自分が好きだからこそ、人にも美味しい焼き鳥を作って食べさせたい。それは金子さんのシンプルながら、最強のモチベーションとなっている。662A1170

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さて。「焼き鳥とワイン 源」のほうは試行錯誤を続けつつも、昨年秋にオープン、その後まもなくのこと。またとないチャンスが訪れた。なんでも「とり茶太郎」の店舗を改装する合間を使い、「焼き鳥とワイン 源」と「とり茶太郎」のコラボディナーが実現することになったのだ。しかも発酵とワインのパートナーを組むモダン・ベトナミーズ・レストラン「アンディ」も参戦しての、トリプルコラボだ。

「大丈夫かなと思いましたね。うちが肩を並べられるかどうか」

今度はあごをつねるようにし、あいかわらず苦い表情を守り抜く千竈さん。話をうかがったのは、すでにイベントを数時間後に控えた夕暮れ。金子さんのほうを見やると、またもやすっかり難しそうな表情に戻っていた。

「ちょっとさっき焼いてみたんですけど、焼き台が怖いです。自信ないです(笑)」

ふだんお店で使っている炭を持参したというが「火力の上がり方も、火の起こり方も違う。けっこう心配性なんです。ふだんの営業でも緊張はするんで」
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でも、楽しみもありますよね?と(むりくり)聞き出すと、「楽しみは、どういうワインを選ばれたのかな?っていうところですかね」

そう!「とり茶太郎」は自然派ワインを扱っていることでも有名で、焼き鳥との絶妙なコンビネーションにファンも多い。「前は日本酒だったんですけど、ある時から夫婦でどんどんワインにハマって。うちはけっこう繊細な焼き鳥なんで、ナチュールともすごく合うと思います」

しかも今回は世界トップソムリエの大越さんが担当するということで、金子さんに再び少し笑顔が戻る。「プロの方がどういうものを選ばれるのかなって。そこが気になるところでしたので」

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さらに発酵調味料やソースの使い方など、シンプル直球勝負が多い「とり茶太郎」とは違うアプローチも、金子さんにとっては、どきどき要素のひとつ。

「僕だったら絶対思いつかない組み合わせなので。面白いですね。ただツクネなんかは良い肉使ってるんで、スモークじゃなくてストレートに塩で出したいなっていうの気持ちは抑えつつ(笑)」

「すごく心配」と正直に心の内を吐露しつつも、その持ち前の探究心が、どのような結果を産むのだろう。まさにのるかそるかの決戦のようすは、後編につづく!

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SHOP DATA

/

・とり茶太郎
東京都 渋谷区 鶯谷町 7-12 TAKビル 1F
tel: 03-6416-0364
→食べログ


・Ăn Đi
東京都渋谷区神宮前3-42-12 1F
tel: 03-6447-5447
→食べログ


・焼き鳥とワイン 源
東京都港区六本木3-8-7 シゲミビル 1F
tel: 03-3475-6333
→食べログ

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